2007年 04月 08日
あなたを思う本当の心があれば |
映画欲が加熱している。
と言っても、映画館に行くのではなくてDVDをレンタルしてるだけなんですけど。
この一週間の内に、「ジョゼと虎と魚たち」と「月曜日のユカ」を観ました。以下感想ネタバレ注意。
■月曜日のユカ
見たい見たいと思ってて、とうとう見つけた!
加賀まりこさん、大好きです。10年前くらいにテレビで見た加賀さんが凄く綺麗で(白いフリッとした洋服を着ていて可愛かった)、以来のファン。
私のイメージする「女優」、プライドがあって、でも有無を言わさない存在感がある、というのに見事あてはまる。
ユカ、可愛い!バービーみたい。
ユカがパパ(パトロン)のことを「パッパ」って小さいツを入れて発音するのが、なんか可愛い。あと、煙草の持ち方が非常に綺麗です。
加賀さんは若いときにパリに住んでいた時期があるらしく、芸能界で稼いだお金を全部使って遊んだらしい。それは、当時のパリのモードを知るために、と何か(雑誌だったかな)で言っていた。
だからか、身のこなしみたいなのが綺麗。背筋とか立ち方とかパウダーのはたき方とか・・・可愛いもの好きな女の子なら、一回は観てみるべき。余談やけど、三輪昭宏さんが数年前のZipperで、「若いから可愛いのは当たり前、若くなくなったときに何が残るの?今から色々勉強しなさい」と言っていたのを思い出した。古い映画って勉強になるなあ・・・
で、内容の方はと言うと・・・流石に時代が時代なので分かりにくい部分もあるけど、引き込まれた。
ユカの、少しねじの外れたような考え方は母親譲りながやなあって分かって、キャラ設定がちゃんとしていると思った。
最後に、自分を売ったパパが溺れているのを眺めるユカの顔があまりにも何にも思ってない顔で、嫌悪感すらなかった。まるで虫でも見ているみたいに不思議な顔。あんなに好きやったパパを見殺しにするユカは、それほどボーイフレンドが死んだこととパパに売られたのが悲しかったがやろうなあ。
でもきっと、その「悲しい」って感情にも気付いてないような気がする。ユカもユカのお母さんも、あどけないからな・・・
軽そうでいてなかなか深い映画でした。あ、あと若い頃の中尾彬さんが文句なく男前なのにびっくりしたー・・・
■ジョゼと虎と魚たち
こっちは、見よう見ようと思いつつ見ず仕舞いやったもの。なんとなく、俳優としての妻夫木君が苦手やけんかな・・・
でも、この映画の妻夫木君は良かった。恒夫の役がぴったり過ぎる(良いこと?)
この映画は、恒夫とジョゼの性格上当たり前にくっついて別れたと分かりやすい。
恒夫の少し強引で軽くて、でも魅力的なところに外の世界を知らんジョゼは惹かれて、今までの女の子と違うジョゼに恒夫は惹かれて、そんで普通の男の子の恒夫はジョゼの感性に付いていけなくなったんだ・・・分かりやすいぞ恒夫。
最後、「案外あっさり別れた」と恒夫は思っちょるけど、違う。ジョゼは本当は別れたくなかったし、もし「別れたくない」って言えば弱い恒夫が別れないということも分かってたと思う。でも、もうジョゼは恒夫を解放してあげたんだよ。くーっ、恒夫の馬鹿野郎。
恒夫がジョゼの家を出て橋の上に元カノがいたとき、「やっぱりか恒夫!」と思った。でもジョゼほど好きやないろうなー、多分また別れるろうなー。(監督・妻夫木君・池脇さんの解説で、妻夫木君と池脇さんが全く同じ予想をしていて笑えた)
うん、でも「そんな別れ方するくらいなら、最初からジョゼに手を出すなよ!」とは思わなかった。
ラストシーンで、車椅子に乗ったジョゼが町を抜けていくところ、あれが唯一の救い。恒夫に出会わんかったらジョゼは一生人前に出ることはなかったと思う。更に言えば、恒夫と付き合ったままやったら恒夫に寄りかかって車椅子には乗らんかったと思う。やけん、とても悲しいことやけど、これで良かった。
やっぱり人の気持ちは変わるものながや、と悲しくて涙が出たけど、二人が付き合ってたことを否定するほど、二人のいたときは悪いものやない。ただ、一つの時代が終わった、そういうことなんだな。
これがまだ映画館でやってたときに当時付き合っていた人が先に観て、「観たら池脇千鶴が嫌いになるかも」と言っていたけど、むしろ私は観てから好きになった。多分、男の子と女の子の感覚の違いがあると思う。
池脇さん、こんなに演技のうまい人やったとは!ジョゼが虎を初めて見たときの「夢に出てきそうなくらい、こわい・・・」と嫌そうな顔をするの、凄い可愛い。
くるりの音楽も、本当に良い!おまけのところで、監督が音楽についても話していて、それを聞いてくるりは自分達の楽曲においてもこういう仕事においてもプロフェッショナルやと感心した。凄いぞ、くるり。
んでー、合間に出てくるDさんのイラストが、これだけがどうしてもこの映画で唯一納得できない。なんでかなあ、と見終わってからもずっと考えてて、それで思ったのは、多分Dさんは外の世界を知ってるから、ジョゼの気持ちを表したイラストとしてはそぐわんがやないかなあ。絵が嘘をついてるっていうか・・・サガンの本の挿絵としての絵は綺麗やったけど、はい。
なんか、感情移入しすぎじゃないろうか自分・・・ってくらいに揺れ動く映画やった。自分の中の映画ベスト10内に入りそう。
by underbird
| 2007-04-08 16:14
| 映画